聖マリアンナ医科大学と分子病態情報研究講座を開設

2015年11月4日

日本写真印刷株式会社

日本写真印刷株式会社(以下、日本写真印刷)と学校法人聖マリアンナ医科大学(本部:神奈川県川崎市、以下、聖マリアンナ医科大学)は、2015年11月1日、肺がんをはじめとする各種疾患について疾患分子病態情報を網羅的に解析し、新規診断・治療法を開発することを目的として、聖マリアンナ医科大学に「分子病態情報研究講座(英語名:Department of Translational Medicine Informatics)」(研究統括:聖マリアンナ医科大学 中村治彦教授)を設置し、本格的に研究活動を開始しました。

分子病態情報研究講座開設の背景と目的

遺伝子情報、生活環境やライフスタイルにおける個人の違いを考慮して疾患予防や治療を行うというPrecision Medicineの考え方は、2015年1月のオバマ米大統領の一般教書演説で表明され、世界の注目を集めました。
元来疾患は、人種や個人(患者)ごとに異なるにもかかわらず、これまでの多くの治療薬は「一人でも多くの患者をカバーする」ことを目的に開発されてきました。その結果、年間売上が1兆円を超えるような「スーパーブロックバスター」も複数品目が上市されています。一方で、最近の創薬の現状は、PhaseⅡ試験の成功率は20%を下回り、また臨床開発自体の成功確率が10%以下と言われています。このような状況から、個別化医療を実現するニーズが急速に高まっています。
本講座は個別化医療の実現の一翼を担うことを目的として、患者病理検体などと質量分析計を用いた探索的タンパク発現解析を特長とし、Precision Medicineの実現を目指します。

研究講座における研究内容

新薬の開発において、動物に効くがヒトには効果がなく開発から除外される薬剤がこれまで多くあり、効果的な新薬開発においてはPhase Iから奏功マーカーをモニターする必要があります。初期段階から患者病理検体などの臨床試料を用いた奏功マーカーを確立することで、これまでの種差を超えるスムースな開発が可能となります。 当社はコンパニオン・バイオマーカーを探索するシステムを確立し、ヒト試料からの解析の情報を創薬現場に反映させて創薬やバイオマーカーの開発を促進することに着眼しました。この手法を軸に据えて、次の5テーマの実現に取り組みます。
Ⅰ. 疾患関連タンパク質群の質量分析に基づく発現解析
Ⅱ. 診断に有用なバイオマーカーの生物情報科学的解析
Ⅲ. 臨床応用可能な診断キットの開発
Ⅳ. 治療の標的分子の探索と生物情報科学的解析
Ⅴ. 新規治療法の開発

研究講座における研究内容

担当者からのコメント

聖マリアンナ医科大学 教授 中村 治彦

肺がんをはじめとする各種疾患について遺伝子、タンパクなどの分子情報を網羅的に解析することは、患者個人に的確な診断法や治療法を選択するために不可欠な研究です。そのために患者病理検体をバイオマーカー探索に活用する手法は、従来に比べてより実際的な病態の把握に適用できると考えられます。参画する教官チームは、臨床プロテオミクスでは世界的に有名な株式会社バイオシス・テクノロジーズで実績を積んだ優秀な人材です。本講座から臨床の現場に直接役立つ手法や医薬品の開発ができるように邁進したいと思います。

日本写真印刷 上席執行役員 コーポレートR&D部門担当 岸 圭司

日本写真印刷は、医療やヘルスケアなどの成長市場に向けて、技術開発を加速させるとともに新たなコア技術の獲得や新規市場への販路を求め、医療分野での研究開発に取り組んでいます。
本講座での共同研究を通して、当社が保有する精密加工技術を基盤とした機器やセンサーの開発および、情報加工技術を基盤としたインフォマティクスシステムの構築により、創薬プロセスにおけるアンメットニーズへのソリューションの創出を目指します。
掲載の内容は、発表時の情報であり、以後予告なしに変更されることがあります。リスクおよび不確実な事実により、実際の結果が予測と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

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